いま、日本茶が海外で大きなブームを呼んでいます。
コーヒーに次ぐ新しい飲料として注目を集めているのです。
その端的な例をデータで紹介します。
アメリカを中心に輸出量を拡大中
農林水産省の作物統計によると、平成28年の茶の生産量は8万2000トン。ここ数年は横ばい傾向にありますが、海外への輸出はアメリカを中心に増加の一途をたどっています。
日本茶の輸出量が増加し始めたのは1990年代からで、2005年には1000トン台、2010年には2000トン台を突破。2015年には、総計4127トンもの量が輸出されました。これを金額に換算すると、約101億648万円の日本茶が海を渡ったことになります。
輸出国数も拡大しており、2013年には49か国を記録。こうした海外での日本茶ブームの背景には、世界的な日本食ブームのほかに、日本茶の効能や糖分のない点が注目され、海外での高い関心を集めているのです。
イギリスの世論調査会社YouGovの調べによると、アメリカでは18~29歳までの若い世代の間でコーヒーと同じ割合で日本茶が飲まれています。ちなみに2013年にスターバックスがニューヨークにオープンした「Teavana Store」は、日本茶の象徴的なお店で、玉露を「Gyokuro Imperial Green Tea」という名で提供し、人気を博しているとか。さらに、ティーバーやティースタンドなど日本茶が楽しめる場の広がりも相まって、今や全米では日本茶が大きな盛り上がりを見せています。
ただし、リーフティを急須で淹れるというスタイルは、欧米ではまだ普及していません。一方、中国茶を飲む東南アジアでは、日本の急須は芸術品としても人気が高く、本物志向が進んでいます。今やアメリカが中心の日本茶ブームですが、これからは急須を核にどんな動きを見せるかが楽しみです。
参考資料:「世界が注目するニッポンの茶」(枻出版社)