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2010年04月






エッセイ『お茶がもたらす珠玉の一滴』

(04/15)

シリーズ ~お茶のある風景2~
『お茶がもたらす珠玉の一滴』
私の朝は1杯のお茶から始まる。お茶を神棚と両親の霊前に供え、礼拝を済ませた後に自分も熱いお茶を飲む。ただこれだけのことなのにとても清々しい気持ちになる。
 けれども、昔の私は仕事で忙しい日々が続き、毎朝ゆっくりとお茶を飲んだという記憶があまりない。それがここ数年は景気の低迷のせいか、お茶をじっくりと味わえる時間が持てるようになったのである。不況にも時には良い効用があるようだ。
 忙しかった頃はお茶を淹れることを煩わしく思ったものだが、そんな自分が今ではとても恥ずかしい。お茶は健康にいいだけでなく、生活にうるおいを与えてくれる。お茶の香り・旨み・さわやかな色には人の心を癒す不思議な力があるし、お茶を淹れること自体にも深い意味があると思う。
 急須でお茶を飲むには、お湯を沸かし、湯冷ましをかけ、茶葉から旨みが出るのを待つなど、少しばかりの手間がいる。だからこそ、気持ちに余裕が必要だ。心を込めて丁寧に淹れたお茶には、私たちを「なごみ」や「やすらぎ」といったもので包んでくれるオーラのようなものがある。
 もしも、時間をさかのぼって、あの頃に戻れるならば、「忙中閑あり」ではないけれど、忙しい中にも時間をつくり、お茶を楽しむ心のゆとりを持ちたかった。1杯のお茶をじっくりと淹れて、ゆったりとした時間の中で自分という人間を見つめながら味わう。そんな時間の過ごし方が出来ていたら、私の人生や物事に対する考え方も随分と違っていたことだろう。しかし、気づいたときが出発点だ。これからは少し冒険をして、毎日使う茶葉や茶器にもこだわってみたい。小さな贅沢を楽しむうちに大切な何かを発見できたならば、これほど大きな幸せはないのだから。
お茶の時間がもたらす、豊な人生のための珠玉の一滴を探したいと思う。






新しい栄誉

(04/01)

矢野園の受賞歴に昨年、新しい栄誉が刻まれました。
これまで矢野園では昭和62年の農林水産大臣賞受賞をはじめとして、京都府知事賞、大阪府知事賞、通商産業大臣賞など、数々の賞を受賞してきました。農林水産大臣賞は4度目の受賞となります。

昭和62年

 宇治茶品評会「煎茶」の部 農林水産大臣賞受賞 

昭和62年

 大阪優良茶品評会「銀印之部」大阪府知事賞受賞

 平成6年

 宇治茶品評会「煎茶」の部 農林水産大臣賞受賞

  平成6年

 宇治茶品評会「煎茶」の部 京都府知事賞受賞

  平成7年

 大阪優良茶品評会 通商産業大臣賞受賞

  平成7年

 大阪優良茶品評会「銀印之部」大阪府知事賞受賞

 平成16年

 宇治茶品評会「煎茶」の部 農林水産大臣賞受賞

 平成16年

 宇治茶品評会「煎茶」の部 京都府知事賞受賞

 ★平成21年

 宇治茶品評会「煎茶」の部 農林水産大臣賞受賞
     

これらの栄誉は宇治茶伝統の技と最新設備により、優秀な茶づくりが評価された証と自負しています。
 緑茶発祥の地・宇治田原にて、矢野園は天保7年に創業しました。つねに最高品質のお茶を目指し、170年余りにわたって精進を続けております。茶づくりに適した宇治田原の自然風土を愛し、生産農家が丹精込めて育てた厳選茶葉にこだわってきました。茶業の専門家として、長年の経験と技術をもとに、新しい設備、新しい衛生管理システムを導入。どなた様にも安心してお喜びいただける銘茶の生産に努めております。
 このように初代矢野宗太郎、二代芳造、三代宗太郎と代を重ねながら、宇治茶の発展・振興に邁進している矢野園ですが、その社訓には「節約を旨とし、奢侈に流れることなく華美な言葉・虚栄心に依り、他人の真似事をしないよう慎む事。但し、吝嗇に陥らないよう注意すべし」とあります。
 今回の最高の栄誉にも奢ることなく、宇治茶づくりの伝統を守りながら、一歩ずつ堅実に歩んでまいる所存でございます。
 






茶どころインタビュー『京都府相楽郡和束町・西山さん』

(04/01)

和束町白栖共同製茶組合 西山 勝行 組合長
 

和束町白栖で香り高い宇治煎茶を
共同で生産しておられる
共同製茶組合長が西山勝行さんです
生産家としてのこだわりや苦労、抱負などについて
語っていただきました
 
 ■京都府相楽郡和束町 
和束町は鷲峰山を挟み、宇治田原町の南側に接する町です。京都屈指の茶どころであり、鎌倉時代、慈心上人が鷲峰山でお茶の栽培を始めたのがルーツとされています。とくに香り高い煎茶が有名で、現在は宇治煎茶生産量の約4割を占めています。また、碾茶は日本で1、2を競う生産量です。
  ■土と霧と人の技が育む煎茶の旨み
 製茶の機械を共同購入し、運営しているのが和束町白栖共同製茶組合です。平成5年度の設立で、蒸しから乾燥まで、コンピュータ制御で行われるFA型工場を保有しています。
 「正組合員5名、準組合員15名としてスタートしました。これくらいの規模の工場を造るには、組合全体で20haの茶園を有していることが条件だったのです。しかし、生産者の高齢化もあり、15年が過ぎた現在は正・準合わせて15名の組合になっています」。
 組合員は自園を持ち、摘んだ茶葉はこの工場で荒茶に加工して袋詰めされ、矢野園をはじめとする問屋に運ばれます。
 和束町の茶園は山の合間にあり、煎茶を中心に、玉露、かぶせ茶、碾茶、番茶などが生産されています。とりわけ煎茶の香り、味わいは全国的に有名。それを表すように荒茶の平均単価もキロ当たり例年4,000円弱と、かなりの高値が付けられています。
 「川が流れる盆地であること、霧が立ちやすいこと、寒暖差の激しい気候であることなどが美味しいお茶のできる条件とされています。和束もまさにそのとおり。春には和束川から霧が立ち、お茶の旨みをじっくりと育んでいるのではないでしょうか。土も日本では珍しく、少し移動したら地質が異なっています。水はけの良さはもちろん、こうした地質の変化もお茶の旨みに関係しているのかもしれません」。
■自然の循環を大切にするエコファーム
 正組合員6名のうち、西山さんを含む3名が「エコファーマー」に認定されています。エコファーマーとは農林水産省が平成11年に制定した制度で、この地域ではNPO法人「わづか有機栽培茶業研究会」が中心になってエコファームに取り組んでいます。
 「基本は土作りです。即効性ではなく、肥効調節型肥料をどう計画的に使うかが問われます。お茶の旨みを増すには有機質肥料を多くし、アミノ酸を増やすことが第一ですが、和束では以前から有機質肥料を使っていて、それほど難しいハードルではありませんでした。ただ、消毒が頻繁にできないという点では少し苦労しました」。
 茶樹に集まる害虫がいて、その害虫の天敵もいます。天敵まで駆除すれば、生態系のバランスが崩れてしまいます。
 日本では無農薬イコール安全というイメージがありますが、化学農薬、化学肥料は人体に害を及ぼさない基準を農水省が設定しています。ですから、必ずしもイコールではないというのが西山さんの考えです。これを遵守するため、京都の生産家は5、6年前から率先して、どのような薬剤、肥料を何回使ったかを記録し、二次加工の問屋に申告するといった取り決めが約束ごとになっています。
■あらゆる自然がお茶の味わいに関係
 「毎年同じ場所で、同じ肥料を与えていても、一度として同じ味わいのものができません。それがお茶作りの難しさです。気候や土、水などさまざまな要素が絡んできます。工業製品なら同じ規格のものを作るのも容易なんでしょうが、農業にそれはありません。だから苦労もしますし、逆に予想外の喜びもあります。いずれにせよ、宇治煎茶の4割を和束が担っているという誇りは強く感じています」。
 最後にこれからの抱負をお聞きしました。
 「これは私個人の抱負ですが、息子が農業を継いで3年目になります。和束の茶作りのいろんなノウハウを教え、茶園の規模ももう少し広げていけたらと考えています」。
 800年以上の歴史をもつ和束茶。その風土や先人の工夫が若い世代に受け継がれていく。農業と宇治茶の発展において、大いに期待したいことです。

※写真説明
   1:組合長でありエコファーマーの西山勝行さん
   2:オートメーション化された工場内和束町白栖共同製茶組合の製茶工場
 3:急な斜面で栽培される和束のお茶






宇治田原の玄関口に、大規模茶園 完成

(04/01)

宇治田原町の玄関口に、府内最大級の集団茶園がついに完成しました。
2010年3月20日には「宇治田原大茶園ふれあい見学会」が同集団茶園で行われ、約15ヘクタールと広がる茶園のお披露目がされました。また同茶園の名称『宇治田原 宗円の郷』が発表され、永谷宗円翁の郷・日本緑茶発祥の地である宇治田原の益々の茶業の発展を願いました。
この茶園には「鳳春」など6種類の苗木30万本が植えられ、初摘みは平成27年春頃の予定です。宇治田原町へ入ると目の前に広がるこの景色が、青々とした新芽で彩られる日が楽しみです。
宇治田原町の「茶」に関する試み
緑茶発祥の地である宇治田原町は集団茶園をはじめとし、茶に関する様々な事業を行っています。茶文化を次世代に伝え、お茶のふるさととして宇治田原をより多くの人に知っていただこうと発信しています。

・集団茶園整備事業 
 大型機械の導入、組織的経営への移行等により茶業経営の大改革を推進し、 茶業の更なる発展と後継者の育成

・茶の苗プレゼント事業
 新しく本町住民になった方、世帯転入者へお茶の苗プレゼント

 ・永谷宗圓 『茶文化賞』
 茶祖・永谷宗圓翁を輩出した「日本緑茶発祥の地」である宇治田原町を全国に発信する一環として、宇治田原町の自然や歴史、お茶に関する俳句等を募集・発信

・「子ども総合育成講座」開設
 茶園育成、茶摘み体験、茶の入れ方・飲み方等について小・中学校を通じて総合的に学習する講座を設ける

 ・修学旅行生茶摘み体験学習招致
 全国から京都府を訪れる修学旅行生等を受け入れ、茶摘みの実地体験を行ってもらう

(宇治田原町HP参照 http://www.town.ujitawara.kyoto.jp/)