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2010年03月
緑茶の王様と呼ばれる宇治発祥の茶葉、玉露
(03/19)煎茶考案の100年後に生まれた最高級の緑茶
緑茶の中で最も高級な茶葉とされる玉露。ふわっとした香りと独特の深い甘みは、他の茶葉にはない優雅な味わいで緑茶の王様とよばれています。
発祥の地は煎茶と同じ京都宇治。煎茶は元文3年(1738)に宇治田原の茶農・永谷宗円が考案し、江戸の茶商・山本嘉兵衛に販売を託したことから広まりましたが、その約100年後の天保6年(1835)、6代目山本嘉兵衛(徳翁)によって玉露は考案されました。
煎茶栽培との違いは、八十八夜といわれる5月2日頃、茶園をヨシズやワラ、あるいは寒冷紗などの化学繊維で20日間ほど覆います。これを被覆栽培といい、直射日光をさえぎることで、緑茶の旨み成分であるテアニン(アミノ酸の一種)を増加させ、とろりとした甘みのある茶葉に育てるのです。このように手間暇かけて栽培されることも、玉露が最高級の緑茶といわれる点でしょう。
玉露という名前は、6代目山本嘉兵衛が宇治郷小倉の木下家で茶葉を露のように丸く焙ったことによるもので、もとは山本家の商品名であり、これがいつしか茶葉の名前になったというわけです。さらに明治初期には宇治の製茶業者・辻利右衛門が、丸く焙った玉露の茶葉を現在のような棒状にすることに成功。宇治茶といえば玉露を思い浮かべるのは、こうした歴史の重みがあるからです。
ぬるめの湯でじっくりと淹れることが大切
(03/19) 緑茶の旨みは、茶葉に含まれるアミノ酸の一種であるテアニンによるものです。
テアニンは根でつくられてから葉へと移動しますが、直射日光に当たると減少し、逆に光合成によって渋み成分のカテキンが多く生成されるようになります。
濃厚な旨み・甘みを特徴とする玉露は、覆いをかけて日光を遮断することにより、旨み成分のテアニン、さらにビタミン類を増加させてものなのです。覆いには化学繊維の寒冷紗が用いられることが多いのですが、稲藁などの自然素材で育てられたものもあり、これを宇治では本玉露と呼んで最高級品としています。
玉露の旨みを引き出すには、ぬるめの湯で淹れることがポイント。最高級の本玉露は50℃、玉露は60℃のお湯でじっくりと時間をかけて旨み成分のテアニンを引き出します。逆に熱湯で淹れてしまうと、渋み成分のカテキンが多く引き出されて苦いお茶となり、あの玉露のとろりとした甘みを味わうことができません。玉露は煎茶や番茶とは違って、茶葉の旨みを堪能するものなので、茶碗は40ml程度が入るもので少量のお茶を愉しみます。
玉露をいただくとゆったりとした気分になるのは、豊富なテアニンがお茶本来のカフェインによる興奮作用を抑制する働きがあるからです。これもまたお茶が持つ自然の妙といえるでしょう。
※詳しい淹れ方はこちらをご覧ください http://uji-yanoen.com/?page_id=11
お茶と相性がいいお漬物
(03/19) お茶にとって好相性のお漬物。
基本的には番茶やほうじ茶がよく合いますが、
意外なお茶との絶妙な組み合わせも見逃せません。
ふるさとが生んだお漬物を新しいお茶請けとして見直してみてもいいですね。
【白菜の浅漬け】
白菜、粗塩、昆布、赤唐辛子があれば、簡単に作れるお漬物。サラダ感覚でサッパリと食べられるため、クセのないお茶との組み合わせがベスト。軽い煎茶や番茶がよく、キュウリやナスなどのぬか漬けにもマッチします
【いぶりがっこ】
秋田のお漬物。囲炉裏の上でダイコンを干したあと、たくあん漬けにしたもの。現在では燻製室で乾燥しますが、木の香特有の風味が楽しめます。焙煎香のある、ほうじ茶、京番茶、釜炒り茶でどうぞ。日光のたまり漬けにも、このお茶が合います。
【野沢菜漬け】
長野の野沢温泉村を発祥とする信州の名物。地元では晩秋になると大樽に野沢菜を塩漬けする風景が見られます。あっさりとした風味は、さっぱり系のお茶がぴったり。軽めの煎茶や番茶がおすすめ。京都の壬生菜漬けも、このお茶で味わいましょう。
【奈良漬け】
平城京の昔より大宮人が食したと伝わるお漬物。白ウリ、キュウリ、スイカ、ダイコンなどを塩漬けし、何度も新しい酒粕に漬け替えて仕上げます。ほのかな酒の香りと個性的な味わいは、ほうじ茶、京番茶、釜炒り茶にマッチ。また、碁石茶との相性抜群です。
【しば漬け】
京都・大原の里の名産で、ナス、キュウリ、ミョウガの薄切りに赤ジソを加えたもの。その強い刺激を中和するのが、渋みが少なく、甘みのある、茎ほうじ茶、釜炒り茶です。これらのお茶は、梅干しやすぐき漬けと組み合わせても好相性。
【福神漬け】
明治初期、東京・上野池の端の茶店で出されたのが評判となって全国に広まりました。醤油・砂糖・みりんの調味液で漬け込んだ刻み野菜は独特の甘みで、渋みのあるお茶が合います。おすすめは煎茶や茎茶で、甘酢漬けにもぴったり。
【べったら漬け】
江戸時代から伝わる東京特産のお漬物。ダイコンを米麹とお砂糖で漬け込んだもので、甘酸っぱい麹とカリカリとした食感に特徴があります。日本茶では同じように米の風味を持つ玄米茶との相性が良く、やみつきになる組み合わせです。
【千枚漬け】
京都の冬のお漬物で、幕末に御所の料理人が考案。聖護院蕪を薄く切ることを千枚にするといいますが、その薄切りのカブを塩漬けした後、昆布・みりん・砂糖で漬け込んだもの。渋みのあるお茶がよく合い、煎茶、茎茶、玄米茶がおすすめ。
(参考資料 山上昌弘著 「知識ゼロからの日本茶入門」)
矢野園茶師が語る 『五感を研ぎ澄ます』
(03/19)
第2回
株式会社矢野園 製造部・吉田健志(35歳)
弊社製造部の若き工場長。
名人に聞きました。
■この業界に入ったきっかけは?
私の姉が以前、矢野園で事務をしておりました。そうした縁があり、21、22歳のころからこちらのお世話になっています。
■修業時代に教わったことは?
矢野園ではどの社員もほとんどの部署を経験させられます。私も配送をしたり、袋詰めをしたり、営業をしたりと、流通のさまざまな現場に接し、学んできました。
先輩や社長などからお茶の製造について教わったことは「お茶の状態に適した火入れを見極められなくてはいけない」ということでした。お茶の状態は四季それぞれで大きく変わります。気温はもちろん、その日の天候によっても最適な火入れ温度は異なります。数値的な制御はコンピュータでできますが、仕上げは人間の勘に頼る部分が大きく、すべて機械まかせというわけにはいきません。官能検査、つまり人の感覚を矢野園では第一にしています。ただし、人間は精密機械ではないので、体調の悪いときもあります。そうしたときは自分一人で判断せず、先輩や社長、専務に確かめていただくことにしています。私が入社したときより機械の性能は格段に進化しましたが、最終的には人間がしっかりしたものを見極めていかなくてはいけない、その姿勢が大事だということを教わりました。
■優れたお茶の条件とは?
人それぞれだと思いますが、私は香りだと思います。宇治茶の香りは天下一品です。それは気候風土によって育まれてきた香りです。昔から宇治田原、山城地域で栽培したお茶には特有の豊かな香りがあり、それが宇治茶の人気にもつながっていると思います。
■後輩に対して一言。
お茶は食品。清潔な環境を徹底するべきだと思います。茶摘みの段階から異物が入らないように心がけ、生産ラインでも機械を使い、異物を除去しています。しかし、人の目も、センサーも100%異物を除去できるわけではありません。やはり、工場を清潔にし、作業者の一人ひとりが清潔を心がけることが大事だと思います。とくに5月からの新茶の時期は私たちも日夜作業に追われるようになりますが、安心できるお茶作りにこだわっていきたいと思います。
■工場長の今後の抱負は?
工場長としてはそれぞれの現場に人を効率よく配置し、全体の業務を無駄なく、無理なく進めていきたいという思いがあります。
お茶に限れば、私自身この世界に入って20年足らずですが、自分の理想とするお茶と実際に仕上がったお茶にはまだ差を感じます。ですから、その差を努力と勉強で少しずつ縮め、小売店様、ひいては一般の消費者様に喜んでいただけるような宇治茶を作っていきたいというのが私の抱負です。
また、最近は食文化の影響もあるのでしょうが、濃いお茶が人気です。香りは高くても、昔はほどよい旨みのあるお茶が好まれていました。飲み飽きないお茶が宇治茶の特徴でもあり、そうした伝統にのっとった、この地らしいお茶を作りたいと考えています。
■一番美味しいと思う一服は?
やっぱり仕事前後の一服です。仕事前はいつもミーティングをしながら皆でお茶を飲むのですが、「よし、今日も一日頑張ろう」という気持ちになります。私個人としては、あまり手を加えていない荒茶も好きです。素朴というか、あっさりした味わいでお茶本来の味わいが楽しめます。
※吉田健志が作業をしている『仕上茶の製造工程』については、こちらをご覧下さい。http://uji-yanoen.com/?page_id=13