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「べっぴん」という言葉がある。長い間、美人の意味とばかり思いこんでいたが、実はもう一つ、漢字で「別嬪」ではなく、「別品」と書いて「特別に良い品」という意味があることを知った。裕福な人なら多くの別品に囲まれてくらしているのだろうが、私のような小市民は、自慢できるような別品など持ち合わせてはいない。

だが、高価な品物だけが別品ではないはずだ。その人にとって、価値ある大切なものこそ、別品ではないかと思う。そう考えると、私にも別品があった。お茶が大好きな私にとって、抹茶は別品に入る大切なもの。特に秋冬は温かいものが欲しくなるので、毎日のように抹茶を飲む。茶葉にもこだわって、上質のものを選ぶようにした。ただ、問題は茶道の心得がないため、美味しく点てられるまでに苦労したことである。お茶を習いに行く時間的な余裕などないため、素人歓迎の茶席やイベントがあれば、積極的に参加するようにした。お蔭で会を重ねるごとに抹茶の良し悪しもわかってきた。

しかし、自分が点てた抹茶は今ひとつで、茶碗の底に抹茶がダマニなって残ることも。そんな時、あるイベントで抹茶の点て方教室に参加する機会を得た。「茶碗はすり鉢型のものを使うと点てやすいのよ」といい、目の前でササッと点ててくれた。私もその茶碗を使ってみたが、とても点てやすい。その後、すり鉢型の茶碗で点てるようになったが、こんな私でも腕前が少し上がったような気がする。最近では友人へのおもてなしもコーヒーではなく、抹茶を出して喜ばれている。

お茶の中でも、抹茶は覆いをかけて栽培し、碾茶にしてから石臼で挽いて粉末状に仕上げる。まさに手間暇のかかる別品だ。茶農家の人々や茶師が丹精込めて作るものだけに、その労苦を忘れないようにしたい。私のべっぴん茶、抹茶。

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